関東圏を中心に展開する人気カフェ「HARBS（ハーブス）」。そのケーキショーケースに並ぶスイーツの中でも、特にファンが多いのが「バナナクリームパイ」です。見た目の華やかさと、濃密な味わいが交錯するこの一皿には、ハーブスならではの美学と哲学が詰まっています。
バナナクリームパイとは？
「バナナクリームパイ」は、その名の通り、バナナとカスタードクリーム、そして生クリームが主役のケーキです。しかし、ハーブスの一品は単なる“家庭的なバナナパイ”とは一線を画します。まず目を奪われるのは、そのボリューム。直径15cmを超えるケーキを6分割した大ぶりの1ピースは、ナイフを入れるのをためらうほどの迫力です。
ハーブス流、層の美学
このケーキの構成はじつに繊細。底には薄く敷かれたパイ生地、その上に完熟バナナをふんだんに使用したバナナムースとカスタードクリームが重ねられ、さらに空気を含ませた軽やかな生クリームが厚くトッピングされています。パイ生地のサクサク感と、なめらかなクリームの対比が秀逸で、フォークを入れた瞬間からその構造の妙に唸らされます。
特筆すべきは、バナナの熟度管理。完熟手前の状態で仕入れ、店舗で最適なタイミングまで熟成させることで、えぐみや水っぽさを回避しつつ、果肉の香りと甘みを最大限に引き出しています。
一切れで満たされる、満足感と余韻
ハーブスのケーキはどれも「1ピースでお腹いっぱいになる」というコンセプトのもと設計されていますが、バナナクリームパイはその思想をもっとも体現した商品かもしれません。甘さのバランスも絶妙で、くどさを感じさせないために、クリームにはあえて甘さ控えめの北海道産生乳を使用。ひとくち目はバナナの果実味が広がり、二口目からはカスタードのコクとパイ生地の香ばしさが追いかけてきます。
いつ食べるのがベストか？
このバナナクリームパイ、実は通年で提供されているわけではありません。あくまで「季節のケーキ」の一つとして、不定期に登場する商品。特に春から初夏にかけての時期に登場することが多いため、公式サイトや店舗にてラインナップを確認しておくのが賢明です。
その日の朝に作られたものだけが店頭に並ぶため、ピーク時間を外した午後の時間帯には売り切れてしまうこともしばしば。確実に味わいたいなら、開店直後の訪問が推奨されます。
テイクアウトでも感動は薄れず
ハーブスのバナナクリームパイは店内でのイートインはもちろん、テイクアウトでも楽しめます。持ち帰り時も美しさを保つように丁寧にパッキングされており、自宅の食卓でもその華やかさは健在。冷蔵庫で1〜2時間ほど落ち着かせると、層の一体感がより増し、食感のまとまりも格段に良くなります。
最後に：バナナという素材の再発見
バナナという果物は、どこか「日常」の象徴のような存在です。しかし、ハーブスの手にかかると、そのイメージは一変。驚くほど官能的で、緻密なレイヤーを持ったスイーツに昇華されます。素材の良さを丁寧に活かしながら、クラシックな構成を現代的に仕立てたこのバナナクリームパイは、「ケーキは甘ければいい」という先入観を心地よく裏切ってくれる存在です。
気取らない、けれど高級感がある。この絶妙な塩梅こそが、ハーブスというブランドの真骨頂。そして、その象徴ともいえるバナナクリームパイは、きっと今日もどこかで誰かの“特別な1ピース”として、テーブルに運ばれていることでしょう。
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